宇宙船

映画の話

レッドタートル ある島の物語


公開時から観たくて、まだ観ていなくって、時がきた!


レッドタートル ある島の物語

(2016)

ひとりの男が遭難し、無人島に流れ着きます。慣れない環境でもなんとか命をつなぎ、イカダで島を出ることにしました。でも何度海へ出ても同じ場所でイカダが壊れ、振り出しに戻ってしまいます。男は心身ともに疲れ果て、生死をさまよいました。
息を吹き返した男がもう一度海へ出ると、イカダを襲ったのは赤い亀でした。ある日その亀が海岸にいるのを見かけた男は、亀を殴り、踏みつけ、動けないようにしました。でも弱っていく亀に心が痛み、助けようと祈っていたとき、赤い亀が人間の女になっていました。
しばらく甲羅の中で意識を失っていた女は、目を覚ますと甲羅を海へ流しました。男はそれを見て、自分も作りかけていたイカダを海へ流し、島で生きていくことを決意します。そして数年後、小さな男の子が誕生し、新しい生活が始まっていました。


台詞のない映画です。
無声映画ではないので、人を呼んだり、叫んだり、笑ったりするんですが、言葉による会話はありません。
自然の音と、音楽と、人の声、人の声でした。

島は海も山も崖も池も、全部ありました。画面いっぱいの緑と風の音で、わたし、ここに帰りたいと思いました。
本当はこわくて、生きるか死ぬかの莫大な力の中にいるのに、暖かく包まれるような雰囲気があって。あんなところで生きていけるわけないのに、帰りたかったんです。
だから、ただいま、と思いながら見始めました。

ただ人間が生きていることを描いてありました。

命って、最初に誕生して、それがずっと続くわけではなくて、その時その時に存在しているのでは、と考えました。
男と女がどこから来たのかはわかりませんが、どこで生まれてどこから来たか、ではなくて、今ここに存在していることが彼らだと思って、うまく言えないけど、生まれた子供も、新しい土地ではそこでの命になると思いました。

命は流れているものではなくて、その時々に置いていくものだから、ひとつひとつを包むんだって思いました。
思い出を遡るときに感情がついてくるのは、そこに置いていた命なのでは。

命の話なので、もちろん死があるんですけど、さよならの気持ちにはなりませんでした。その人が今まで置いてきた命が、全部その人に集まってくる気がして、おかえり、と思いました。
いつか大事な誰かが死んだとき、おかえり、と思いたいかもしれない。


嘘でしょ…見ちゃった…嘘って言って…みたいな気持ちで観てました。
風がどこから来るのか知ってしまったような気持ちでした。
世界や宇宙の真理、とはまた別のことです。そんなものはわかりません。

丁寧で、とくに自然の音が素晴らしかったです。木々が触れ合う音が一本一本聞こえました。雨も。
本当に、自然の猛威、なのに全部優しくて、ずっと抱きしめられていました。
きっとだから、彼も生きていた。

置いていく命のことをたくさん考えて、同じくらい、流れのこともずっと考えていました。わたしは、生きていくことは「流れ」と「真(ま)」だと思っているんですが、間違ってないかもしれない、と思える映画でした。